Profile

永松 あき子

1957-2021年。栃木県生まれ。

1975~76年AFS奨学によりアメリカ合衆国イリノイ州滞在
東京藝術大学美術学部建築科卒
同大学大学院美術研究科建築設計室修了

年表

1984-86 宮脇檀建築研究室勤務
1993- 混合技法を学ぶ
1996 五人展
1998 混合技法4人展
2000 個展 (アートギャラリー環)
2003 Imaginary Days展 (ギャラリー近江)
Punkt展 (青木画廊)
2004 Punkt展 (青木画廊)
2005 Lasur展 (青木画廊ルフト)
Punkt展 (青木画廊)
2006 Punkt展 (青木画廊)
2007 眼展 (青木画廊)
Punkt展 (青木画廊)
2008 「夢幻のイストワール」展(彩鳳堂画廊
Punkt展 (青木画廊)
2009 打楽器奏者 吉岡孝悦氏プロデュース「音の風景」参加
Scuola展(青木画廊ルフト)
Punkt展 (青木画廊)
2010 Punkt展 (青木画廊)
UrPunkt展(青木画廊
2011 Scuola展(青木画廊ルフト)
Punkt展 (青木画廊)
Scuola展・これまでの永松あき子展 (同時開催。ガレリア佐藤)
2012 Punkt展 (青木画廊)
永井画廊主催 公募「日本の絵画2012」優秀賞受賞
2013 Punkt展 (青木画廊)
2014 「日本の絵画2012」入選・入賞者展 (永井画廊)
「日本の絵画2012」優秀賞受賞記念個展 (永井画廊)
公募「ドローイングとは何か」展 入選 (ギャルリー志門)
2018 公募-日本の絵画-セレクション (永井画廊)
2019 World Art Dubai
2020 World Art Dubai
2021 2月 永眠

受賞歴

「日本の絵画2012」優秀賞(2012) , 第四回「ドローイングとは何か」入選 (2014)

日本人であること

高校時代に1年間米国滞在した私は、自分が日本人であることを強く意識し、大学で建築を学ぶようになると、外と内とが融合した日本建築に心ひかれました。

また日本は、豊かな水の国です。絶えず空気中に水分が含まれ、遠くのものを霞ませます。

風や湿気、そして「空(くう)」「気(き)」「間(ま)」という目に見えないものを表現する日本独特の美意識は、この風土、気質のなかで育ってきた私の大きな一部です。

空間表現は私の最も大切にしていることですが、それを、水分を含んだ空気の層としてとらえています。
この空気の層を、透明な絵の具と半透明・不透明な白をさまざまに重ねて層を作っていくことで、より奥行きのある空間として表現するよう試みています。

建築を学んだこと

建築とは、まっさらな地に、様々な条件を与えられ、自分の考え・想いをもとに、自分なりの形を作り上げていく行為です。

東京藝術大学の建築科では「何を考えているのか」「何をやりたいのか」「どのようなコンセプトか」という思考の訓練を受けました。

そのためか、目の前の事象を写す、ということに興味はなく、ひとつのまっさらな空間(画面)を前に、どのような想いを込めた宇宙観をどのような形で 作っていくか、学生の頃の訓練のままに絵を描いているような気がします。

建築を学んだことは、絵を描く今になっても、私の基盤であり背骨です。

テーマ

私たちは、太古の昔より自然と一体になって生きてきました。

とくに、植物たちは、酸素を供給して大気圏を生成し、宇宙の脅威から地球を守ると同時に、その脅威を恩恵に変えています。恩恵である光や水を受けとりながら、水を守り、大地に滋養を与え、与えられ、全ての命を支える食物連鎖の基幹となっています。

植物が生み出した大気圏、このはかなく青い薄膜に包まれ、その下で様々な要素が循環して、全ての命が生成・消滅を繰り返している、そのような世界・・宇宙、そこに浮かぶ地球という惑星、大気、光、水、大地、植物、それらに守られ支えられている命、それらの要素がすべてつながって循環しながら生きている一つの世界が、常に私のテーマです。

ひとつの種子が命すべてを含んでいることに不思議な感動を感じます。星々を描きながら森を想い、一枚の葉を描きながら一つの命が生まれ消えるというできごとを想います。

技法

私は、画家川口起美雄先生に師事し、ルネッサンス期に生まれた油彩とテンペラによる混合技法を学びました。この技法の特徴は、断面で考える、ということです。薄い絵の具の層を何層も重ねることにより、より重厚で複雑な色彩が生まれます。油絵の具の透明な美しさと、そこにテンペラを併用していくことで生まれる表現の豊かさ・奥深さは私を魅了してやみません。